雪舟筆という伝称をもつ花鳥図屏風は、最も雪舟の筆意に近く古様な作風を示す小坂家本、前田育徳会本をはじめとして十数種あるが、どれも筆致や構成などに差があって、その多くは雪舟の弟子の世代に制作されたと推定されている。本図は、花や木、鳥、岩などを前景に平面的に構成するために奥行きがあまり感じられない。また左隻の中心に大きな梅樹を据えていることは先の両本にみられない特徴である。これらの特徴は、桃山時代障屏画へとつながる新しい傾向を示しており、そこに雪舟系の花鳥画の変容がうかがえる。
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