『三宝絵詞』は、永観2年(984)に、平安時代中期の学者で、詩や文章にすぐれた源為憲(みなもとのためのり)が編纂した仏教説話集である。仏・法・僧の三宝を上・中・下3編に収め、上巻は釈迦の過去世を伝える本生話(ほんじょうわ)、中巻は聖徳太子以下18人の伝記、下巻は仏教行事の解説と説話を記し、各巻に序をもつ。本来は絵もあったと見られるが、現存しない。
本文は、1ページに8、9行分が漢字と仮名を交じえて書かれ、奥書から文永10年(1273)8月8日の書写と判明する。本書は、上巻末尾に1葉を欠く、ほぼ完本に近い形で、京都・教王護国寺(東寺)観智院に伝来した。