国宝水滴(水盂)すいてき すいう

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  • 銅製鍍金
  • 全高7.2胴径8.4
  • 唐または奈良時代・8世紀
  • 東京国立博物館

 銅板に金メッキした金銅製の文房具。法隆寺では、この3種と黒漆塗りの縁をもつ瓦硯(猿面硯)とを一式として、聖徳太子が『三経義疏』(さんぎょうぎしょ)を執筆したときに用いたものと伝えている。
 墨台(墨床 ぼくしょう)は、墨の受け台、基台とこれらをつなぐ円筒形の台軸からなる。受け台は六角形で、中央に6弁の花、周囲には6個の小さな7弁の花をおもなモチーフとする唐草文を透彫し、葉脈や花弁をごく細い線を彫る毛彫(けぼり)で表している。台軸は中空で、4本の花枝を毛彫し、裾に12弁の蓮弁をめぐらす。基台は、周囲に8個の小さい5弁の花を透彫し、受け台と同じく毛彫をほどこす。いずれもところどころを魚卵のように小さな輪を密に彫った魚々子(ななこ)文様で変化をもたせている。
 水滴(水注)は袋形で、側面に楕円形の窓を作って中に鳳凰と花弁を毛彫で表し、底の三方に猫脚を鋲留めする。蓋は、4弁の花形で周縁が反り、宝珠形のつまみを中心に4弁の花を毛彫している。蓋、身ともに空間に魚々子を打っている。
 水滴から水を汲む匙は、蓮弁形、ひょうたん形、柳葉形の3支(個)で、いずれも匙面は浅く、丸く作った柄は微妙な曲線をなしている。
 8世紀の製作と考えられるが、製作地は唐時代の中国、奈良時代の日本いずれか、また匙も朝鮮半島製の可能性があるといわれる。

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