国宝新撰朗詠集巻上断簡(山名切)しんせんろうえいしゅうまきじょうだんかん(やまなぎれ)

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  • 縦26.8cm 横9.3cm
  • 平安時代
  • 京都国立博物館

 江戸時代、筆蹟鑑定を家業としていた古筆家に伝来した手鑑。折帖装の帖には、表に伝聖武天皇宸翰(しんかん)「大和切」(賢愚経断簡)以下117葉、裏に伝聖徳太子筆「戸隠切」(法華経断簡)以下125葉の古筆をそれぞれ貼付する。
 手鑑は本来、数多くの古筆・名筆を鑑賞する目的で作成されたものであるが、古筆家に伝来したこの手鑑の場合、鑑賞もさることながら、筆者の鑑定に供することを大きな目的のひとつとしていた。通常の古筆とは異なって、手鑑本体に筆者や古筆切の名称を付せず、手鑑目録を別に作成しているのも、これを古筆鑑定の練習用にあてたためであろう。
 古筆の収録配列は、表が天皇(宸翰)、親王、摂家、平公家、歌人の順で、裏に経典、名人、書道家流、法親王、高僧、連歌師、武家、女筆と続く。
 貼付された古筆は多種にわたり、そのなかには平安時代を代表する古筆である「高野切」(古今和歌集断簡)、「本阿弥切」(古今和歌集)のほか、「鳥下絵切」(法華経断簡)さらには「南院切」(新撰類林抄断簡)、「竹屋切」(源氏物語断簡)、「玉津切」(蜻蛉日記断簡)など、名品が数多く含まれている。
 「翰墨城」(MOA美術館蔵)、「見ぬ世の友」(出光美術館蔵)とともに三代手鑑のひとつに数えられている。

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