簳(やがら)はいずれも竹をまっすぐに成形して、漆を拭き込んでいる。
六目鏑箭は、6孔をあけた角製の鏑に、大きな三角形の尖根(とがりね)の鏃(やじり)をつける。弓弦(ゆづる)をつがえる筈(はず)は牙製である。『御宝物図絵』には「守屋大臣ヲ射玉フ矢ナリ」と記載されている。
先に径1.6cmの角の杵形を付けた箭は、この杵形に深い彫込みがあり、現在は欠失しているが、この溝に鑿形の鉄を挟んでいたもので平題(いたつき)と呼ばれる形式である。
5本の同形の箭は、いずれも小さな三角形の鏃で、『東大寺献物帳』にみえる「三稜(みかど)の小爪懸(こつまがけ)」という鏃に該当すると考えられる。簳の口巻(くちまき)や羽をつけた末矧(うらはぎ)には黒漆の上に金粉をわずかに蒔いたことが認められ、羽の欠損の位置から三立羽(みたてば)であったことがわかる。