『御宝物図絵』に「梓真弓 皇太子怨敵退治之御弓」とある丸木弓(まるきゆみ)。丸木のまま皮を削り去って仕立てた弓を丸木弓という。梓は「ミネバリ」、「オンノレ」と称された堅木で、壇(まゆみ)や槻(つき)などとともに弓を材として用いられた。弓の両端は凸形に削って弭(はず)といい、弓弦(ゆづる)をかける肩とする。下端を本弭(もとはず)、上端を末弭(うらはず)とよぶ。根元に近い本弭側は、緻密で堅いため、本弭より弓腹(ゆみばら)に浅い樋を彫って、末弭側との弾力の均衡をはかっており、全体に漆がかけられている。