国宝栄花物語 巻第十四えいがものがたり

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  • 紙本墨書
  • 大型本 各30.6×24.2,小型本 16.3×14.9
  • 鎌倉時代・13世紀
  • 九州国立博物館

平安時代後期(11世紀~12世紀)を扱う、仮名による編年体歴史物語『栄花物語』の現存最古の写本。もと三条西家に伝来したもので、大型本10帖、小型本7帖の二種を取り合わせている。『実隆公記』によると、三条西実隆(さんじょうにしさねたか)が永正6年(1509)11月に全17冊の代金100疋を支払って購入した。書風や形態から、大型本は鎌倉時代中期、小型本は鎌倉時代初期の書写とみられる。
『栄花物語』(『栄華物語』とも)は、30巻の正編と10巻の続編の二部に大別され、まず正編が書かれた後、続編が別人によって書き継がれた。称名寺長老剣阿筆『日本紀私抄』によると、作者は赤染衛門(あかぞめえもん)と伝えられる。赤染衛門は、歌人平兼盛の娘で、当代一流の学者であった大江匡衡(おおえのまさひら)の妻であり、藤原道長の正室である源倫子(みなもとのりんし)に仕えて宮廷にも出入し、後年出家した経歴や、文才・年齢などからも正編の作者である可能性が高い。
 続編の作者は、平季信の娘である出羽弁(でわのべん)が有力視されている。続編の一部または全部を平棟仲の娘である周防内侍(すおうのないし)作とする説や、宮廷に仕えた複数の女性によって書き継がれたとする説もある。正編の成立は1030年ごろ、続編は寛治6年(1092)2月以後間もないころと推定される。
 内容は宇多天皇から堀河天皇までの約200年間の宮廷の歴史を描くもので、貴族たちの権力闘争の中から、藤原道長が、天皇の外戚(がいせき)としての地位を手中に収めて勝利を得るまでが語られ、その後は道長周辺のことが詳しく述べられる。六国史(りっこくし)や未完成に終わった『新国史』を継ぐ意図を持って書かれた編年体の歴史書でもあるが、史実の書き替え、順序の改変が多い。生活史の断片や、挿話・逸話をはじめ、人物の性質・容姿等が概括的、批評的に記され、年中行事・儀式・服飾などの記述が詳しい。そのため風俗史の史料としても貴重である。

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