重要文化財太刀 銘備中国住人左兵衛尉直次作/建武二年十一月たち めいびっちゅうのくにじゅうにんさひょうえのじょうなおつぐさく/けんむにねんじゅういちがつ

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  • (指定名称)太刀 銘備中国住人左衛兵尉直次作/建武二年十月日
  • 1口
  • 鉄鍛造
  • 全長91.4
  • 南北朝時代
  • 京都国立博物館
  • E甲446

 備中国青江は古来より刀剣の生産が盛んな地であり、平安時代から室町時代に至るまで数々の名刀を産み出してきた。同地域で製作された作品は国宝・重要文化財の指定数でも山城・備前・相模に次ぐ数をほこり、青江鍛冶の作刀技術の高さを示している。また、後鳥羽上皇が選出した12人の御番鍛冶のうち3人が備中の刀工であり、そのためか彼らの作風には同じく御番鍛冶を輩出した山城鍛冶や備前鍛冶の作品との類似性が見られ、工人間の技術交流を伺わせる。
 この太刀の作者である直次は、鎌倉時代末期から南北朝時代にかけて活躍した青江派の刀工で、建武二年の年紀がある本品は基準作として極めて重要である。使い勝手を良くするため、後年になってわずかに磨上げられてはいるものの、銘文が鮮明に残り、刀身部分の作行も非常に良好で、刃中の働きが極めて豊富かつ繊細なうえ、身幅が広く、やや重が薄い点に南北朝時代につながる時代的な特徴を見て取ることができる。

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