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桃山時代の金碧障屏画の代表的作品として著名なこの屏風絵は、桂宮家(もと八条宮家)に伝来し、明治14年(1881)の宮家廃絶により御物となった。画面にある引手金具の跡から、もとは天正18年(1590)12月落成の八条宮邸の襖絵であったとされる。このことから、作者が当時画壇の第一人者であった狩野永徳(1543-90)の最晩年の作と考えられている。
金箔を貼った大地や雲を背景に、画面いっぱいに大枝を広げる巨木の圧倒的な姿が迫ってくる。背景を整理し、色の数を少なくし、藁筆のようなもので樹皮を荒々しく描き、檜の力強く堂々たるさまを強調する。金地と金雲の間からは群青の水をたたえる池水が見える。
巨木の強い生命力は、画家自身の激しい気概を示すと同時に、桃山武将の豪放な美意識を伝えている。
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