国宝円珍贈法印大和尚位並智証大師諡号勅書えんちんぞうほういんだいかしょういならびにちしょうだいししごうちょくしょ

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  • (指定名称)円珍贈法印大和尚位並智証大師諡号勅書
  • 小野道風筆 (おののとうふう)
  • 1巻
  • 彩箋墨書
  • 28.7×156.9
  • 平安時代・延長5年(927)
  • 東京国立博物館
  • B-2405

 延長5年(927)12月27日に醍醐(だいご)天皇(885~930)が、延暦寺(えんりゃくじ)第五世座主(ざす)で園城寺を再興した円珍の没後36年に際して、法印大和尚位と智証大師の諡(おくりな)を下賜(かし)した勅書である。本作は寺に渡された控えだが、書き換えられないように「天皇御璽(ぎょじ)」の内印が字の上に13顆(か)捺されている。円珍にかかわる大部の文書典籍とともに園城寺が大切に伝えてきたもので、明治時代に園城寺の別当であった北白川宮家より、昭和23年、当館に譲渡された。
 『帝王編年記』巻十五(延長五年十一月十一日条。日付は誤記か)に、この件について「宣命道風書之」(宣命、道風これを書く)とあり、小野道風(894~967)が揮毫したと記されている。平安時代の「三跡」(さんせき)の筆頭である小野道風は、和様(わよう)の書の礎を築いたとされ、その書は、各時代を通して尊重されてきた。本作の書は、肉厚で豊潤でありながら全体的に緊張感のある小野道風34歳の筆跡である。

(惠美)
『国宝 東京国立博物館のすべて:東京国立博物館創立一五〇年記念 特別展』毎日新聞社他, 2022, p.283, no.25.

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