重要文化財樫鳥糸肩赤威胴丸かしどりいとかたあかおどしのどうまる

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  • 1領
  • 兜鉢高15.0 前胴丈32.5 前草摺丈28.5
  • 室町時代・15世紀
  • 東京国立博物館

右脇引合せの胴に、兜(かぶと)と袖を配した胴丸の代表的な名品。兜の鉢は、筋に銅鍍金(どうときん)の覆輪(ふくりん)をつけた総覆輪(そうふくりん)の四十八間(けん)の筋鉢(すじばち)で、正面に鍬形(くわがた)と日輪(にちりん)の前立(まえたて)をつける。鍬形台(くわがただい)をはじめ胴や袖の金物は、銅鍍金の魚子地桐唐草文彫(ななこじきりからくさもんぼり)で、頭(かしら)を桐の薹文(とうもん)とした鋲を打っており、吹返(ふきかえし)や杏葉(ぎょうよう)の据文(すえもん)は、桐唐草文透彫としている。
 威は、紺糸に紅染めの赤糸を斜めに打ち込んだ樫鳥といわれる組糸で、樫鳥の名称については、松皮組(まつかわぐみ)とする説があり、検討の余地が残されている。吹返をはじめ胸板(むないた)などには、藻の中に獅子や蝶を型染めとした正平韋(しょうへいがわ)と称される染韋(そめがわ)を用いている。
 室町時代の甲冑のなかでも、技巧を尽くした精緻な仕立で、浪岡御所の北畠家伝来といわれ、江戸時代に陸奥の三春藩主となった秋田家に伝わった胴丸である。

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