「等目菩薩経」は、仏説等目菩薩所問三昧経、等目菩薩所問経、普賢菩薩定意経ともいい、3巻13章からなる「華厳経」の十定品に当たるものである。
本経は、奈良時代の公卿・学者である吉備真備が孝謙天皇のもと正二位右大臣に昇進したことを機に、子の由利が報恩のために発願した一切経の一つである。巻末には、「天平神護二年十月八日正四位下吉備朝臣由利」の奥書願文があり、766年の成立であることがわかる。当初は西大寺の四王堂に5282巻が納められていたという。黄蘗染の楮紙に淡墨界を引き、大ぶりの堂々とした奈良時代後期を代表する写経である。
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