昭和六年に北海道の坂本弥太郎氏から恩賜京都博物館に寄贈された坂本龍馬関係文書三巻。 冒頭写真は「坂本龍馬桂小五郎遺墨」と題されたもので、坂本龍馬が実家の坂本家に出した手紙を中心としている。 残りの二巻は「坂本家先祖書並系図」と「龍馬乃遺墨雄魂姓名録並海援隊日誌秘記」である。 いずれも坂本家・海援隊などに関わる貴重な記録類。 (追記) 昭和六年に当時の恩賜京都博物館が受け入れた坂本弥太郎寄贈品の一巻。龍馬の手紙八通を中心に、龍馬の和歌・里謡、父坂本八平の訓戒書、桂小五郎の書状、長姉千鶴の龍馬あての手紙から構成された長大な巻物である。ただし適宜貼り込まれているので年代順ではない。大正時代後半頃に札幌市在住の坂本弥太郎氏によって巻子に仕立てられた。坂本弥太郎は龍馬の甥で坂本家を継いだ坂本直寛の娘婿にあたる。この坂本家伝来の龍馬資料は土佐の姉乙女にあてた龍馬の手紙がその根幹をなしている。それらは彼の人間性を良く表す手紙である。仮にこれらの手紙類が残っていなかったらば龍馬に関する小説やドラマの面白さは半減したであろう。博物館には寄贈の経緯を示す当時の書類は残っていないが、近年北海道の坂本家に坂本弥太郎氏による寄贈書類の写しがあることが分かったおかげで資料の性質が一層明らかになってきた。(2016年 坂本龍馬展図録 宮川)